布団の収納:押入れの湿気から寝具を守るしまい方

布団の収納は、「しまう」より「出す」が難しい
十月の衣替え。夏の薄い布団を洗ってしまい、冬の布団を押入れから出す——この入れ替えのとき、毎年なんとなく同じ手順を繰り返していませんか。
布団の収納が難しいのは、しまう作業そのものより、次に出すときの状態にあります。半年ぶりに開けた押入れから、においのする布団が出てきた。表面は乾いているのに、中が冷たく湿っている。こうした経験がある家庭は少なくないはずです。
原因はほとんど、収納方法ではなく「しまう直前の状態」と「しまった場所の空気」の二つにあります。この二点を押さえるだけで、布団の収納は惊くほど安定します。
押入れの上段に置く理由と、その落とし穴
日本の押入れは、布団を収納する前提でつくられています。奥行きはおよそ六十センチ、上段と下段の二段構成が一般的です。布団はかさばるので、上段を使う家が多いと思います。
ただし上段は、天井に近く、外壁に面していることが多く、一年でもっとも温度差が大きい場所です。夏は熱がこもり、冬は結露しやすい。閉め切ったままにすると、空気はほとんど動きません。
つまり押入れの上段は、布団にとって「広くて便利な場所」であると同時に、「湿気がたまりやすい場所」でもあります。ここを前提に置いて、収納の組み立てを考えます。
干す、冷ます、しまう。この順番を守る
布団をしまう前に、必ず晴れた日に干してください。半日から一日、風を通すだけで、繊維の内部にたまった湿気はかなり抜けます。
ここで見落とされやすいのが、干したあとに冷ますという工程です。温かいまま畳んで重ねると、冷えるときにまわりの空気から湿気を呼び込みます。干し終えたら、日陰で三十分ほど置いて、表面の熱が消えてから畳む。これだけで、しまった直後の湿度が変わります。
もう一点。布団を干したあとに「叩いてホコリを落とす」という習慣がありますが、現在の寝具の扱いでは、強く叩くことはすすめられていません。わたや羽毛をつぶし、生地を傷めるためです。ホコリは、干してから軽く払うか、掃除機の布団用ノズルで吸い取るほうが安全です。
圧縮袋は、長期の保存には向かない
収納スペースを確保するために、布団を圧縮袋に入れる方法があります。この方法は、引っ越しや一時的な保管には有効です。ただし半年以上の長期保存となると、話が変わってきます。
圧縮は、布団の弾力を支えている空気と繊維の構造を、長いあいだ押しつぶします。とくに羽毛は、圧縮された状態が続くと、ふくらみが戻りにくくなることがあります。わたの布団も、長期間つぶれたままでは固まりやすくなります。
加えて、圧縮袋は密閉します。乾燥が不完全なまま密閉すれば、湿気は袋の中に閉じ込められたままになります。
長期でしまいたい布団は、圧縮せず、通気を保ったまま保管する。どうしても場所が足りないときだけ圧縮を使い、次の衣替えで早めに開ける。この使い分けが現実的です。
敷布団・掛布団・毛布では、しまい方が違う
同じ「布団」でも、扱いは少しずつ異なります。
敷布団は、体重と汗を直接受けています。表面が乾いていても、内部に湿気が残っていることが多いので、干す時間を長めにとります。畳むときは、たたみじわが同じ位置に重ならないよう、数年おきに折り方を変えると傷みが偏りません。
掛布団は、顔まわりに接するぶん、汗と皮脂がついています。カバーを外して洗い、本体は干してからしまいます。においが気になる場合は、干す前に薄めた重曹水を軽く吹き、乾かす方法があります。
毛布は、洗濯表示を確認したうえで、洗えるものは洗ってからしまいます。洗わずにしまうと、汗と皮脂が半年間そのまま残り、虫やカビの原因になります。
すのこで底上げし、かごでまとめる
押入れの床は、直接触ると冷たく湿っています。ここに布団を直置きすると、接している面から湿気が移ります。
もっとも簡単な対策が、すのこや除湿シートで底上げすることです。百円均一のもので十分機能します。床と布団のあいだに空気の層をつくるだけで、接地面の湿気は大きく減ります。
そのうえで、布団をそのまま積むのではなく、用途ごとに分けて収納することをすすめします。来客用の客布団、普段使いの予備、季節はずれの毛布——これらを大きなかごに分けておくと、押入れの奥で何が眠っているか分かるようになります。
手編みの籐かごや竹かごは、編み目から空気がゆっくり行き来するため、布団まわりの湿気をため込みにくい収納です。密閉して守るのではなく、通気を保ったまま覆う。これが日本の住まいに合った考え方です。ホコリが気になる場合は、不織布のカバーをかけると通気を保ったまま防げます。
押入れの上段には、重いものを入れないでください。布団は軽いほうですが、それでも複数枚を重ねると重量は増します。棚板の耐荷重は住まいによって異なるため、上段は「軽くてかさばるもの」、重いものは下段に、という原則を守るほうが安全です。
客用布団は、年に一度開ける
来客用の布団は、使われないまま何年も押入れの奥に置かれていることがあります。使っていないあいだも、湿気は少しずつ入り込みます。
衣替えのタイミングで、客用布団も一度出して広げ、風を通してください。年に一度、状態を確認するだけで、いざというときに清潔な布団を出せます。カビやにおいに気づけるのも、この習慣がある家庭です。
まとめ
布団の収納で効くのは、特別な道具ではありません。
- しまう前に、しっかり干して、冷ましてから畳む
- 押入れの床から、すのこで底上げする
- 長期保存では圧縮を避け、通気を残す
- 用途ごとに分け、年に一度は出して確認する
この四つで、押入れの布団は驚くほど安定します。衣替えは、その点検のための年に二度の機会です。
私たちの手編みのかごは、広西チワン族自治区の工房で、ひとつずつ編まれています。布団まわりの収納や押入れの整理に使えるサイズは、籐かご・かご収納 のページでご覧いただけます。衣替え全体の段取りについては、衣替えの収納:かごで整える、湿気に強いしまい方 もあわせてご参照ください。